
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症ですが、39℃から40℃にも達する発熱が数日間続く点、関節痛や消化器症状などを引き起こす点で、通常呼吸器症状だけが出て比較的低い発熱に終始する「風邪」とは異なります。また、世界中で流行する場合があることも「風邪」との大きな違いです。以前世界的流行を起こしたスペイン風邪、アジア風邪、香港風邪などは、風邪という言葉が入っているものの、その本質はすべてインフルエンザです。
インフルエンザウイルスは、A・B・Cの3種類があり、このうちヒトに症状を引き起こすのはAとBです(AとBでは、遺伝子の構造などが異なります)。インフルエンザウイルスの表面にはヘマグルチニン(H)およびノイラミニダーゼ(N)と呼ばれるタンパク質があり、これによってウイルスの種類を区別しています。ヒトの間で流行するタイプは、たとえばH1N1、H2N2、H3N2などと表現されるウイルスです。HとNはウイルスの増殖に関係します。Hはウイルスが細胞に侵入するときに働き、Nは細胞内で増えたウイルスが新たな細胞に移るため、細胞から飛び出すために働きます。
発症から48時間以内にタミフルやリレンザを使用すると効果があるとされていますが、これらの薬剤は両方とも、Nの働きを邪魔することによって、ウイルスの増殖を抑える(言い換えると、細胞の中に閉じこめてしまう)働きがありますので、本格的に増殖する前に使用すると症状を抑えることができるわけです。
現在、一般の病院では、簡易検査試薬を利用して、インフルエンザがA型かB型かの診断が可能です。新型インフルエンザはA型(H1N1)ですが、簡易検査試薬で可能なのは、A型であるという診断までで、たとえばA香港型(H3N2)との区別はつきません。これ以上細かい診断をつけようとすれば、専門の施設でウイルスの遺伝子などを調べる必要があります。(「新型」と呼ばれるのは、その遺伝子型が人類がこれまで経験したことのないタイプであるためです。)
この簡易検査では、ある程度ウイルスが増殖してからでないと正確な結果が出ません。発熱などの症状が出てから6~24時間以上経過してからの方が、誤って陰性と判断してしまうケースは減ります。つまり、上述したタミフルやリレンザの使用についての時間的な条件とは、正反対となります。せっかく診断はついたのに、タミフルやリレンザを使用すべき時期が過ぎてしまっていた、ということも起こり得ます。発症から24時間前後が、診断にも治療にも適した時間ということになります。
インフルエンザは、患者のくしゃみによって出されたウイルスが、別のヒトに吸い込まれたり、手についたウイルスが口や鼻から入ったりすることで感染します。従って、一般的な予防として手洗い・うがい・マスク着用などが挙げられます。予防接種もありますが、これは感染そのものを防ぐことよりも、重症化を防ぐことに重きが置かれています。結局、インフルエンザに罹ることを完全に防ぐ手だてはなく、日頃から免疫を高めておくことが重要となります。
過労や睡眠不足・ストレスは、免疫を低下させますので、回避すべきなのは言うまでもありませんが、なかなかそうはいかないのが現実です。毎日食べている食品から免疫を高めることも可能で、ビタミンB1・B2・B6やビタミンCも免疫を高めますので、豆腐・納豆・ねぎ・豚肉・魚介類、いちご・みかんなどの果物を摂取することがインフルエンザの予防につながります。また多糖体産生ブルガリア菌で作られたヨーグルトは免疫を高める作用があると報告されており、インフルエンザに対抗するための手段の1つと言えます。