
関節リウマチは、以前は「慢性」関節リウマチと呼ばれていましたが、現在では単に関節リウマチと呼ばれ、医療現場では、しばしば英語のrheumatoid arthritisの頭文字を取ってRAと略称されます。
これは自己免疫疾患、つまり、本来、外部から侵入してきた病原体を攻撃して体を健康に保ってくれるはずの免疫が、どういうわけか自分の体を攻撃して、病気にしてしまう疾患の一つです。自分の組織や器官を、誤って敵であると認識してしまい、攻撃をかけてしまう、というわけです。自己免疫疾患という名前は、いわば免疫の働く方向からつけられました。自己免疫疾患のうち、病理学の観点から、結合織(体の組織と組織の間にあって、それらを結びつけている)が冒されるものは「膠原病」と呼ばれます。関節リウマチも膠原病です。このほか、全身性エリテマトーデス(SLEと略称)が膠原病として有名です。
ほとんどの病気は男性に多く発生します。一般に男性の死亡率が女性より高く、平均寿命も男性が短い(2008年のわが国では男79.29歳、女86.05歳)のは、1つにはこのことによります。ところが、関節リウマチを含む自己免疫疾患の多くは、なぜか女性に多いのです(ちなみに、バセドウ病などの甲状腺の疾患や胆石症などの胆嚢の疾患も、女性に多い)。現在、わが国には関節リウマチの患者が100万人近くいるとされていますが、その8割前後は女性で、かつ30~50歳に多く見られます。ほかの自己免疫疾患と同様、根本原因は判明していません。遺伝が関係する症例は存在しますが、生活習慣や食習慣は、事実上、発症とは関係がないとされています。
免疫が関節の滑膜を攻撃すると、滑膜がヒダ状に増殖して、炎症物質が関節の中に大量に放出されることなどにより、今度は軟骨・靱帯・骨が冒され、やがては関節そのものが破壊されて、最終的には関節が固まってしまいます。この疾患では、手指の関節などの小さな関節が冒されるのが特徴で、関節の変形、たとえば手指のスワンネック変形(白鳥の首のような形に変形)や尺骨側への偏位(小指の側へ指が曲がること)が起こってきます。
診断には、アメリカリウマチ学会の定めた診断基準が使われます。この中には、「朝のこわばり」、「3領域以上の関節炎」「左右対称の関節炎」などの臨床症状や、「リウマトイド因子」などの血液検査の結果が含まれています。日本リウマチ学会の定めた早期関節リウマチの診断基準が使われる場合もあります。また、悪性関節リウマチといって、心臓や肺など、関節以外の組織が冒され、重い症状を呈するタイプも、少数ながらあります。なお、15歳未満の子どもに発症する場合もありますが、これは「若年性関節リウマチ」(略称JRA)あるいは「若年性特発性関節炎」(略称JIA)と呼ばれ、かつその診断基準は、成人に対するものとはやや異なっています。
関節リウマチに対する治療のスタートは早いほどよく、関節の障害も軽度で済みます。メソトレキセートという、免疫を抑制する作用をもっている薬剤が薬物治療の主力です。副腎皮質ステロイド剤や非ステロイド系の抗炎症剤も使われます。また運動療法やリハビリテーションも重要です。たとえば、その一環として、日常生活動作を工夫することも、関節の破壊を防ぐのに有効で、医療機関より具体的に指導されます。
関節リウマチは、介護保険法上、第2号被保険者(40~64歳の医療保険加入者)の「特定疾病」の一つとなっており、関節リウマチによって介護・支援を必要とする状態に至った場合、要介護・要支援の認定を受けられます。