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がん がんと闘う免疫機能

一般に「がん」と呼ばれている疾患は、医学用語では「悪性新生物」と呼ばれます。つまり、「本来は体の中になかったのに、新たに発生してきた、悪さをする生き物」という意味です。がんは、現在、日本人の死亡原因の首位です。さらに、がんによる死亡を種類別に見ると、2007年の年齢調整死亡率の1・2・3位は、男性では肺がん・胃がん・大腸がん、女性では大腸がん・肺がん・乳がんでした。

胃がんから欧米型のがんへ

わが国では、長い間、男性も女性も胃がんが首位でしたが、第2次大戦後、胃がんが減少してきた一方、大腸がん・膵臓がん・乳がん・前立腺がんが増加し、特にここ約20年間、死因としてのがんの種類の順位に相当な変動が起こっています。

胃がんは、これまで、日本人に多く見られた日本型のがんであり、大腸がん・膵臓がん・乳がんはアメリカ人やヨーロッパ人に多く見られる欧米型のがんといえます。この変動の大きな原因とされているのが、戦後の日本人の食習慣の変化、「欧米化」です。肉などの動物性食品を、戦前より多く摂るようになり、植物性食品の摂取割合が減ってきて、欧米人の食習慣に近くなってきたことによって、病気の種類まで欧米化してしまった、というわけです。

がんを予防するためには

がんに対する予防は、通常、3つに分けられます。

(1)まず、がんにならないようにすること。
(2)次に、がんになってもそれを臨床症状が出ないうちに早期に発見して早期治療に結びつけること。
(3)さらに、治療中や治療終了後に、以前となるべく同じような生活を送れるようにすること。

などで、それぞれ1次・2次・3次予防と呼ばれています。たとえば「たばこを吸わないようにしよう」というのは1次予防です。2次予防の代表はがん検診で、現在、わが国で一般に行われているのは胃がん・肺がん・子宮がん・乳がん・大腸がんに対するものです。3次予防としては、たとえば乳がんに対する手術で乳房を失った場合、様々な方法により、乳房を再建しようとすることが挙げられます。

体内で終始発生するがん細胞

がん細胞は、実は、われわれの体内で、始終発生しています。ところが、われわれのもつ免疫機構が、これを発見してそのつどつぶしています。ところが、たまたま免疫機構による監視をくぐり抜けるがん細胞があると、やがてそれが大きく成長して、生命を脅かすことになるわけです。免疫は、体の外から侵入してくる病原体を撃退するだけではなく、体の中にできてくる「悪さをする新しい生き物」をやっつける役目ももっています。日頃から免疫を高めておくことは、感染症に罹るのを防ぐだけでなく、がんになることを予防するという意味も持っています。

がんにならないためには1次予防が重要ですが、免疫を保つことは、まさにがんに対する1次予防そのものです。そのためには、たばこを吸わないこと、アルコールを飲み過ぎないこと、運動を習慣的に行うこと、適度の睡眠時間を確保すること、ストレスを避けること、などが重要です。さらに、食事に気をつけることもこれらに劣らず重要です。このことは、日本人の食習慣の変化が、がんの種類の変化をもたらしたことからも明らかです。たとえば、胃がんに対しては、塩分を抑えることや、熱い食べ物の摂取を控えることなどが挙げられます。また、大腸がんに対しては、肉などの動物性食品を摂り過ぎないこと、野菜や果物をなるべく毎日、かつ適量摂取すること、また腸内環境を改善し、善玉細菌と呼ばれている乳酸菌やビフィズス菌優位に保つために、ヨーグルトを摂取することなどが勧められます。

※ わが国では年々高齢者が増えているため、高齢者が罹りやすい病気については(大部分の病気がそうですが)、単純に人口10万人当たりの死亡率で比較することはできません。年齢調整死亡率とは、人口の高齢化の影響を排除する目的で計算された死亡率のことです。